⑦400万円台の家

東京でフリーライターをしていたアラフィフシングル女子。東日本大震災を機に東北へ通い始め、2015年にはついに宮城県石巻市へ移住。現在は庭付き中古一軒家を購入し、会社も設立。愛猫のふーちゃんと共に大海原へ漕ぎだした、そんなドキドキハラハラな毎日を記していきます 

400万円台の家

まさか本当に、

自分が家を買うとは思いませんでした。

軽い気持ちでネット検索してみると

すぐに、

石巻での売り家情報が出てきました。

価格が安い順に出てきて、

一番目と二番目の物件はいずれも、

駅から頑張れば徒歩圏内という坂の上の

中古一軒家。

他にも場所を選ばなければ、

海が見えたり、

家や敷地がハンパなく大きいなど

田舎ならでは!という物件が続きました。

では、最初に出てきた2件は

おいくらかというと、

そろってまさかの400万円台。

私は東京にいる時も、

よく田舎暮らしの本なんかを見ていて、

千葉県や茨城県の外れに多い

格安物件の間取りを見ては、

ウットリすることもありました。

この金額ならば、

いつか自分の城を持てるかも。

しかし現実的には、

通いで畑をやりたい人向けの別荘などが多く、

周りにスーパーもコンビニも家もない、という

生活するには難しいものばかりでした。

 

それがここ石巻では

400万円台という

ちょっといい車一台分のお値段で、

歩いて行ける場所に物件があるなんて。

これは見に行くっきゃない!

 

とはいえ、

不動産屋さんに立ち会ってもらうほど

本気ではなかったので、

外観だけでもひとりで見に行ってみたい、と

住所を教えてもらいました。

一番安かった物件は、

ああ、なるほどね、という感じ。

メインの坂道から脇に入る

私道っぽい細道に3軒の家が並び、

その真ん中が該当の物件でした。

小さなお庭付きの

こじんまりとした二階建ての一軒家。

ひとりやふたりで住むには

いいサイズ感でしたが、

前後や向かいの家が近すぎるのと、

敷地に入り込んで

窓から家の中をのぞいてみると

荒れ果てた空き家という風情、

すぐに住める感じではありませんでした。

それでもこの価格なら、

リノベーションして住居でなくても、

何か事業所のような形で利用したいという人は、

居そうな気がしました。

 

でも、私の場合は余裕のパス。

繰り返しますが、

ウーン、と悩むほど

家を買うなんて本気ではなかったからです。

 

それが、二番目に見た物件では……。

なんなの、ここ!

立派な石に松や紅葉、藤棚もある大きなお庭は、

つい最近まで手入れがされていたようです。

誰かがこの家をとても愛して、

大事に大事に住んでいた、

そんな気配がしました。

(つづく)

我が家のお庭を眺める広い縁側。日当たりがいいので冬でも昼間は暖かいお気に入りの場所です

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