民泊はじめました!という前回のブログから、
早くも数カ月。
その後どうだったかといいますと……
すごいんです。
届けを出し、許可が下りたのが3月。
そこからすぐに民泊サイト
『Airbnb(エアービーエンドビー)』を通じて、
予約が入り始めました。
特に今年は10連休となった
令和記念のゴールデンウイーク。
ほぼ連日、
海外からのゲストが我が家を訪れることに。
スコットランド、カナダ、ドイツ、
フランス、スウェーデン、アメリカ、
台湾、香港、中国……と実にお国もバラエティ豊かで、
人類みな兄弟な時が
あっという間に過ぎました。

思い出深き、最初の外国人ゲストはスコットランド人のキャサリン。いきなり意気投合して居酒屋にも。彼女が励ましてくれたおかげで、インチキ英語や素人なりのもてなしにも自信が持てました

1年かけて日本縦断旅行を敢行中のフランス人カップル・ミケ&ミラーナ。石巻に1週間滞中、我が家には2泊。後日一緒にランチしたりと何度も会いに来てくれました。もちろん現在もFacebookでやりとりを。

カナダから来た学生4人組。北海道からの南下の旅に疲れきっていて、我が家ではバタンキューと寝るだけでした。たったひとりの女子は誰の彼女だろうか、と今も謎のまま

スウェーデンから16歳の息子とお母さんのふたり旅。『ジオキャッシング』というリアル宝さがしゲームをしながら海外旅行を楽しんでいるとか。「ラーメン」を知らなくてビックリ。世界は広いなァーと実感
ところで、
なぜこんなに外国人が来るのかって?
そりゃあ前回も書きましたが、
キャッツですよ、キャッツ🐈🐈🐈!
石巻には住民よりも猫が多いと言われる
『田代島(たしろじま)』という離島があり、
震災前から有名だったそう。
とはいえ、外国人客が急増したのはここ数年。
ゲストたちに理由を尋ねると、
「ネットフリックス(アメリカのインターネット動画サイト)で
田代島のドキュメンタリーを見た」とか
「日本旅行を検索すると、
猫島行きを勧められて、
田代島はトップ3に出てくるよ」などの回答が。
中には、
「世界中がキャットアイランド(田代島)に憧れている。
知らないのは日本人だけだよ」と
断言したゲストもいて、
私はますます、
インバウンドのイの字も感じさせない
わが街の素朴さを案じずにはいられない気分に。

チェックインそうそう、我が家のニャン達を撮りまくった台湾人のカメラ女子、クリスティ

GW中、唯一の雨降りで猫島行きを断念せざるを得なかった台湾、香港からの留学生チーム。その分、我が家のクロちゃんが思いっきりもてなしました

カリフォルニアからひとりで来たソフィアの腕には、亡くなった2匹の愛猫の肉球タトゥーが
また、意外でしたが、
我が家にやってくる
外国人ゲストの多くは、
石巻が東日本大震災における
最大被災地とは知らないようです。
というより、
8年前の大震災さえ、
なんだっけ、それ?という感じ。
若干、複雑な気がしますが、
考えてみれば私にとっても、
異国のニュースなんてそんなもの。
むしろ「被災地」という以外の理由で魅力を感じ、
わざわざ外国から人が来るというのは、
健全で希望があるように思います。
お互いのことを何も知らないのに、
同じときを過ごし、
一緒に笑いあえるというのは、
とても不思議で楽しいこと。
ヒトはみんな同じなんだな、と
肌で実感する体験です。

6月に入って1組だけ、被災地を巡りたいと来てくれた英国人カップル、ウィル&ホーリー。彼らは福島県で2年間、小中学校の英語教師として働いていました。もうすぐ帰国、というタイミングで石巻に。自国でも東北のことを伝える活動をしてくれるそうです
★
思えばあちこち巡って生きて来た
私の人生も旅そのもの。
だから特に女性のひとり旅なんかだと、
ふとしたした瞬間の孤独や
内省するような空気感に共鳴。
必要以上に「よくしてあげたい欲」が
ムラムラ湧きあがってきます。
だって私は宿の女主人。
「旅」というドラマの中では
かなりのメインキャラでありましょう。
猫が好きで日本の石巻を目指し、
たまたま我が家に泊まることを
選んだゲストたち。
多くは二度と会えないだろう出会い。
この奇跡が無駄にならないよう、
交差した時間を大切にしたい。
だって私は
Ishinomakiの民泊のおばちゃんとして、
彼らの特別な記憶に収まるのですから。
なんでこんなコトになったんだっけ?と
我ながらワケがわかりませんが、
とりあえずまたひとつ、
おもしろい役をいただいて光栄。

最初のゲスト、キャサリンから送られてきたポストカード

フランス人のミケ&ミラーナが『ミュゼの日』にくれたスズラン。友情の証に
『民泊よあけの猫舎』の詳細はこちら。もちろん、日本人のお客様も大歓迎です。
筆者:塩坂佳子(しおさか・よしこ)大阪府高槻市出身。関西学院大学文学部卒業後はアルバイトなどを経験し、25歳でフリーランスのライター兼編集者として開業。2000年に大阪を出て、友人が住む小笠原諸島父島へ。釣り船の手伝いなどをして島暮らしを満喫、その様子を雑誌に連載するなどして2年間の長期滞在を楽しんだ。その後、板橋区へ移住し、東京でのライター・編集業を本格始動。主な仕事は結婚情報誌「ゼクシィ」や「婦人公論」などで執筆。出版社との契約で中国上海市に1年間駐在、現地編集部の立ち上げと雑誌創刊などにも関わった。東日本大震災後は、震災ボランティアとして宮城県を中心に訪問。2013年には、上海在住のイラストレーター・ワタナベマキコと共に、東北の名産品をユニークなキャラクターにした東北応援プロジェクト「東北☆家族」を立ち上げ。東京に住まいながら活動を続け、2015年秋に宮城県石巻市へ移住。2年間は主に石巻市産業復興支援員として、復興や地方再生を促す街の情報発信を担当した。2017年9月には『合同会社よあけのてがみ』を設立。現在は、自宅兼オフィスとして購入した築50年の庭付き中古一軒家をDIYでリノベーションしながら、2匹の愛猫・ふーちゃんとクロちゃんと共に暮らしている。
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