㉚8年目の春

春とともに動き出す。

私が住職を務める

浄土寺の境内に植樹した

早咲きの河津桜も咲き出した3月。

震災から8年が過ぎた3月24日、

境内と地続きのかさ上げ工事が完了し、

ようやく土地の引き渡しが行われた。

境内はかさ上げする部分より

少しだけ高かったので

土を入れることはなかったが、

付近の工事のため、

境内の土地も引き渡されることがなく、

今まで構築物を作ることが

できなかったのである。

 

一昨年からの話で、

土地が引き渡された後は

庫裏を新築することになっていた。

やっと動き出せる。

まずは、震災後に作業場などとして

境内に置き、活用した

トレーラーハウスを移動するため、

電気、水道、ガス、電話を止めた。

さらに、境内には震災にも耐え生き残った

樹齢300年を超えると言われる老松と

毎年花を咲かせるサザンカがあるが、

このサザンカの移植も行わなければならなかった。

最後に、電話線の撤去を終え、

トレーラーハウスを無事に移動。

仮移動でしばらくは、ただの箱状態。

これから参道の整備をし

いよいよ庫裏の新築へと向かうが

色々な規制があり、

思ったようには進まないだろう。

河津桜も8分咲きになり

見に来る人も増えてきた。

昨日、午前中に境内にいると

スモークが貼られた

ワンボックスカーが境内まで乗り入れ、

3人降りてきて河津桜へ。

境内に作務衣を着た坊主頭がいたら

寺の関係者だとわかるはずだが、

挨拶もない。

3人は桜を見た後、

ようやく「こちらのかたですか?」と

私に声をかけてきた。

名刺にディレクターとある女性が

午後に撮影させていただけませんかという。

撮影内容については何も言わなかったが、

こちらもただ、桜を撮っていくのだろうと思い、

境内は参道工事中で

重機が入って作業をしているので

車の乗り入れはしないことを条件に、

撮影を許可した。

しかし、午後の用事を終えて寺に戻ると

参道作業が中断している。

どうしたのかと尋ねると、

撮影で音が入ると困るので

作業は中断してください、

和尚さんから許可を貰っていると

取材班から言われたとのこと。

撮影は許可したことに違いないが、

工事を止めさせるなど全く聞いていない。

ディレクターに注意をしたら、

別な女性が出てきて、

名刺に執行役員チーフプロデューサーとあった。

話をすると河津桜を植樹したチームや

現場の作業員には話しをし、

予定表も渡していたというが、

住職である私には報告もなく

冗談じゃない!と厳しく注意。

午前中に会わなかったら

何も知らずにことが進み、

テレビ放映となっただろう。

聞くとジャニーズのとある人が

河津桜の近くの切り株に座り、

手紙を朗読するとか。

取材などでは失礼なことが多く、

嫌な思いも沢山したことは

以前に書いたが、

憮然とする出来事は

まだまだ続くのである。

と、ため息をつきながらコマーシャル。

令和元年5月1日、

CMのないNHKBSプレミアムで

午後9時からの放送

「平成万葉集」という番組です。

わたくし住職はでませんが、

陸前高田市の浄土寺が映ります。

ぜひ、ご覧ください。

(浄土寺境内付近の利用については陸前高田市HPを参考に。

引き渡しに時間がかかり過ぎていて、

高台や別の場所に住宅を建てた人も多く、

売地希望が多いのが現状)

菅原瑞秋(すがわら・みずあき)、1958年生まれ。岩手県陸前高田市にある浄土寺の住職。以前は併設の幼稚園で園長も務めていたが、東日本大震災で寺は大規模半壊、園舎は跡形もなく流され現在休園中。奇跡的に家族の中には犠牲者が無かったが、愛犬一匹を失い、自身も避難所で3カ月、仮設住宅で3年間の生活を余儀なくされた。最大規模の被災地にある寺の住職として、犠牲者の魂や遺族たちの心を支え続けている。現在は妻と震災後にやってきたフレンチブルドッグのハナちゃんと生活。3人の子どもたちは成人し、それぞれ東京などで暮らしている。

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