⑮容赦なきDIY

東京でフリーライターをしていたアラフィフシングル女子。東日本大震災を機に東北へ通い始め、2015年にはついに宮城県石巻市へ移住。現在は庭付き中古一軒家を購入し、会社も設立。愛猫のふーちゃんと共に大海原へ漕ぎだした、そんなドキドキハラハラな毎日を記していきます 

容赦なきDIY

正直言いまして、

私は先立つものさえあれば、

全部プロにお任せしたいタイプです。

自分で作ったものは愛着が違うなどうんぬん、

よくポジティブに言われますが、

私はやっぱり

プロにやってもらいたいです。

ラクだし。

完成度、まったく違うし。

残念ながら、

工程を楽しむという心の豊かさも

持ち合わせておりません。

効率至上主義ですから、

スピーディにいいものができる

断然、プロに頼みたい派です。

 

しかしながら、

お金も限りある資源です。

特にアラフィフ、シングル、フリーランスという

この身の三重苦では、

老後資金の不安がハンパありません。

しかも買った家は、

築50年越えという古民家の域。

クリーニング、内装、修理、リフォーム、

全部プロに任せていては

住む前に破産してしまいましょう。

 

そこで私は嫌々ながら、

DIYに着手することとなりました。

一生やる機会がなくても

特に寂しいとは思わなかった、

むしろやる機会がないほうが

望ましいとさえ思っていたあのDIY。

都会から地方に移住してきたからって

誰もがDIYなスローライフと思ったら

大間違いなんですよ。

だからこそ、

どんなにハードルが高くても、

気力が萎える前にやり遂げておきたいことから

着手するのが正解です。

私の場合は壁の漆喰塗りでした。

それも今の時代、

最初から親切に練ってある

素人向けの漆喰も発売されているというのに、

私はなぜか、粉から練るタイプの

親方仕様の本格漆喰を

頂いてしまいました。

先生はもっぱらYou tube。

何度もイメトレを重ねたのち、

いきなりメインの部屋から塗り始めました。

 

最初からまったくできないことは

努力しても無駄と考え、

すぐにやめてしまうたちですが、

最初からある程度できたことに関しては、

才能アリ、と気を良くして

頑張れるタイプです。

漆喰、イケるね!

やりだすとハマって

数日で2部屋を完成させました。

暗い壁の色が気に入らなかった

脱衣所兼洗面所も、

ご近所のお友達ご夫婦に手伝ってもらいながら、

全面、天井まで白いペンキで塗りました。

あと、キッチンの床には

建築士の知人にやり方を教わり、

フローリング調のフロアカーペットを

這いつくばって張りました。

備え付けの曇りガラスだった棚には、

この家に貯蔵されていた

上等な器たちをズラリ並べて

いつでも愛でられるようにしたいと

透明ガラスを取り寄せてはめ変えました。

愛猫のふーちゃんが

さっそく突撃してビリビリにしてしまった障子紙は

考えに考えた挙句、

プラダン(プラスチック製段ボール)を

障子紙に見立てて

タッカーで張り付けるという

画期的なアイデアをひねり出しました。

こうして6月から暮らし始め、

夏が過ぎ、秋が深まった頃。

ようやく、

トイレのリフォームをお願いできる

業者さんが見つかりました。

最初は庭に浄化槽を埋めて、

汲み取り式トイレを水洗にするという

大がかりなリフォームを検討していましたが、

住むうちに、

庭を壊すのは最小限にしたいと思い始めました。

そのうえ、

1年先か10年先かはわかりませんが、

地域に下水道ができたら、

その時また工事をすることになると知り、

「簡易水洗」という

同じ汲み取り式ではあっても

下が見えずに清潔感がまるで違う、

お財布にもかなり優しいリフォームで

すますことにしました。

そしてこの時には既に、

私の技術と経験はちょっとした

現場監督並みに

仕上がっていたのであります。

初回見積もり、約50万円。

業者さんから提示された詳細を見て、

自分でできる作業、

ホームセンターで安価に購入できる材料などを

瞬時に判断することができました。

壊したり掘ったり、

はがしたりというような

土台部分や水回りの作業は

プロにお願いし、

塗装などは自分でやる。

見積書に2万円とあった照明器具も、

ホームセンターに行けば、

気に入ったものが2~3000円で

ゲットできることを知っていました。

素人離れした的確なジャッジメントにより、

実に、10万円分もの工事費を

カットすることに成功したのであります!

容赦なきDIY。

こうして私はまたひとつ、

強くなりました。

陰気で不快だったリフォーム前のトイレ。なぜか二重扉でした

リフォーム後。ミントグリーンの壁も照明器具も全部自分で。ふーちゃんも嬉しそうでした(*´▽`*)

塩坂佳子(しおさか・よしこ)

1970 年生まれ、大阪府高槻市出身。関西学院大学文学部卒業後はアルバイトなどを経験し、25歳でフリーランスのライター兼編集者として開業。2000年に大阪を出て、友人が住む小笠原諸島父島へ。釣り船の手伝いなどをして島暮らしを満喫、その様子を雑誌に連載するなどして2年間の長期滞在を楽しんだ。その後、板橋区へ移住し、東京でのライター・編集業を本格始動。主な仕事は結婚情報誌「ゼクシィ」や「婦人公論」などで執筆。出版社との契約で中国上海市に1年間駐在、現地編集部の立ち上げと雑誌創刊などにも関わった。

東日本大震災後は、震災ボランティアとして宮城県を中心に訪問。2013年には、上海在住のイラストレーター・ワタナベマキコと共に、東北の名産品をユニークなキャラクターにした東北応援プロジェクト「東北☆家族」を立ち上げ。東京に住まいながら活動を続け、2015年秋に宮城県石巻市へ移住。2年間は主に石巻市産業復興支援員として、復興や地方再生を促す街の情報発信を担当した。2017年9月には自分の会社を設立。現在は、自宅兼オフィスとして購入した築50年の庭付き中古一軒家をDIYでリノベーションしながら、愛猫・ふーちゃんと共に新生活をスタートさせたばかり。

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