⑪なんてこったい!

東日本大震災で被災し、避難所で3ヶ月、仮設住宅で3年間暮らしたお寺の和尚が、奇跡の一本松や巨大なベルトコンベアで全国に知られることとなった故郷、岩手県陸前高田市のことを書いていきます。フレンチブルドッグのハナさんは震災でかつての愛犬を亡くした和尚のために、妻と娘たちが連れてきてくれた新しい相棒です

なんてこったい!

陸前高田市内には、

商業用のかさ上げ地のほか、

山手に高台が造成されている。

前にも書いたと思うが、

規模は違っても7箇所の造成地があり

すでに利用可能となり、

住宅が建っている高台もある。

高台に土地が持てるのは、

震災前に浸水区域内に

土地を所有していた人が優先され、

以前の土地が100坪以上あったとしても、

公平に100坪まで。

震災前のコミュニティーを重視して

できるだけご近所さんどうし一緒に、

ほぼ希望通りの高台に決まったと聞くが、

割り当ての土地が気に入らずに

もめたという話も聞いた。

例えば、山を崩したところと、

盛り土をしたところとでは

安全性が違う(崩れるかも)など。

私も震災前、

浸水区域内に土地があったので

「高台3」というところに

100坪の土地を持った。

高台に土地を持つことは、

住宅を再建することが大前提。

所有したまま放置することはできず、

当初は説明になかった引渡し後2年以内に

業者との建設契約(2年以内に建てるのではない)を

しなければならなくなった。

このことにより、

親を亡くして家を継いだが、

現在はまだ他の地域で仕事をしている若者たち、

定年後、地元に戻り

生活をしようと計画していたが、

諦めざるを得ないという者もいる。

陸前高田の人口が減っている中、

追い討ちをかけるようなことは

いかがなものかと思う。

莫大な公費が注ぎ込まれているので

いつまでも空地にしておくことが

できないのも分かるし、

高台に土地を持つことの大前提は

あくまでも「住宅再建」であることはわかるが……。

「2年以内に」という条件がついた事で

土地を持つことを諦めた人たちがいて

造成規模が縮小されたり、

売地の看板が立ったところもある。

私の土地は幸い親戚が使う事になって、

今月4日から使用が可能となっている。

住宅を建てるための高台としては

いちばん規模の大きな「T3(高台3)」は

すでに住宅が建っている先行区域の東側と

今月から使える西側に分かれていて

これから次々住宅が建って行くだろう。

地元の工務店では間に合わず、

大手のハウスメーカーが入ってきているので、

1週間もみないともう外装ができている。

ハウスメーカーは全て持ち込みなので

こちらでは何も買うことがなく、

地元にお金は落ちないそう。

なんてっこったい!

1958年生まれ。岩手県陸前高田市にある浄土寺の住職。以前は併設の幼稚園で園長も務めていたが、東日本大震災で寺は大規模半壊、園舎は跡形もなく流され現在休園中。奇跡的に家族の中には犠牲者が無かったが、愛犬一匹を失い、自身も避難所で3カ月、仮設住宅で3年間の生活を余儀なくされた。最大規模の被災地にある寺の住職として、犠牲者の魂や遺族たちの心を支え続けている。現在は妻と震災後にやってきたフレンチブルドッグのハナちゃんと生活。3人の子どもたちは成人し、それぞれ東京などで暮らしている。

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