『dignity-ディグニティ』
身長192センチ、ヒゲをたくわえ、
肩には、その日たまたま練習があったクリケットのバットの柄が
顔をのぞかせたスポーツバックをかついだ白人が、
「お疲れ様です~」と日本語で言いながら
東電の正面玄関に入っていく姿は、
完全に、幾人もの警備員の盲点をついてしまったようです。
宮城県丸森町という里山の自然の中で、
無邪気に遊ぶ子供たちの写真をいっぱいに並べたテーブルを囲み、
ギャビンさんと東電の社員数名は、
声を荒げることなく何時間も英語で話しました。
決して、賠償しろとか原発を止めろとか、
そういう話ではありませんでした。
“今、大人たちの足元で何が起きているか”、
ギャビンさんはそれを伝えなければならないと思ったのです。

『dignity-ディグニティ』、
その頃よく、ギャビンさんの口から出た言葉でした。
大学受験で習った記憶はありましたが、
それまで日常生活の中では、
あまり耳にしたことがありませんでした。
日本語の、『尊厳、自尊心』に一番近い英語です。
父として、大人として、男として、夫として。。。。
いつも、ギャビンさんという人の中心にあるのは、
このdignity なのだ、はっきりとそう思いました。
それを中心に彼の言動すべてが形作られています。
そこには、迷いや恐れが入り込む隙間は一切ありません。
私たちそれぞれが、本来、
『自分の中心』に持っているものがあるのだと思います。
普段は隅に追いやられ、
忘れ去られていることも多いかもしれませんが、
それは、何か決断をしなければならない時に
大きな柱となって姿を現してくれるのだと思います。
(つづく)

原発事故前、福島県に近い宮城県丸森町。桑の木の枝に作ったブランコで遊ぶ長女、当時7歳
【オールライト千栄美】:1972年石巻市生まれ。イギリス人の夫と長女(16歳)、長男(15歳)、次男(12歳)の5人家族。再生可能な環境開発を専門とする夫と共に、“都会とは全く違う環境で行う、ビジネスマン向けリトリート施設の建設”という構想を抱き、2008年、宮城県と福島県の境にある小さな山里に移住。その構想の第一歩として、“西洋と東洋の伝統に自然を融合させた新しい技術”をコンセプトにした家づくりを2011年3月11日午後2時45分(つまり、東日本大震災勃発の瞬間)まで家族で行う。その後、夫の母国イギリスへ。現在は、オンラインで日本に英語レッスンをお届けする【英語職人】を生業とする。https://chiemiallwright.wixsite.com/online-eikaiwa
千栄美ちゃん、こんにちは貴女のお父さんの友人の菊田です。子どもたち、大きくなりましたね❗️ギャビンさんも貴女も元気そうで、なによりです。先日、Calynのたぶんデビューの時のミージュックビデオが、私の所で見つかって、お父さんの所に持って行きました。Calynとは、FBで友達となっています![よあけのてがみ]これからずっと読ませていただきます!
菊田さん。メッセージ頂きまして、ありがとうございます。子供の頃(もう35年以上も前です!)は本当に色々なことを教えていただきました。今でもよく覚えています。今後とも家族一同、よろしくお願いいたします。(チエミ)