㉔移住3年を振り返る

東京でフリーライターをしていたアラフィフシングル女子。東日本大震災を機に東北へ通い始め、2015年にはついに宮城県石巻市へ移住。現在は庭付き中古一軒家を購入し、会社も設立。愛猫のふーちゃんと共に大海原へ漕ぎだした、そんなドキドキハラハラな毎日を記していきます 

移住3年を振り返る

ちょうど3年前の夏の終わりに、

私は東京から石巻に移住してきました。

もう、3年!

あまりの早さに、

思わず頭が真っ白になります。

けれども、

冷静になって振り返ってみると、

我ながら多くの種を

蒔くだけは蒔いてきました。

もちろん、そのすべてが

芽を出したわけではありません。

が、中には

本当に良い実をならしつつあると

感じるものもあり、

改めて、感謝の念がこみ上げてきます。

まずは震災の翌年、

東京に住まいながら

上海在住のイラストレーター

ワタナベマキコと共に始めた

キャラクターブランド『東北☆家族』。

私はこの活動を通して2015年に、

当時の石巻市役所の産業部部長さん

(彼は震災後に霞が関から派遣された

応援部隊の若手エリートでしたが)

に声を掛けられ、

産業復興支援員という職を得て、

石巻への移住を決断しました。

この街に来てすぐ、

平日は会社勤めをしながら、

私は駅の近くに土日限定の

『東北☆家族』ショップをオープン。

東京では、

考えもしなかった実店舗。

石巻に来たからこそ実現できた

トライアルのひとつです。

 

この東北☆家族ショップは

開店から約2年後となった

今年初めに閉店。

現在は他のお店に商品を預ける

委託販売方式にシフトしましたが、

わずかの期間でも自分で店を持ち、

お客さんとじかに触れあったことは

多くを学ぶ機会となりました。

その甲斐あって、

じわり、じわりとではありますが、

『東北☆家族』はようやく

広がりを見せてきたように思います。

置かせてもらえる場所が増え、

 何より嬉しいのはその多くが、

街を元気にしようと営まれる

地域に根差した

手作り感満載のお店であることです。

 

もともと

金銭的な利益を第一の目的とせず、

被災地を元気づけたいという

思いで始めた『東北☆家族』。

細々とでも丁寧に、

小さな地域の人たちと

話し合いながら共に育っていく

この感じがたまりません!

だからこそ、

私もイラストレーターのワタナベマキコも、

お金にならずとも

楽しんで続けてこられたし、

スタートして5年が経つ今もなお、

新しいキャラクターやグッズを生み出そうと

ワクワクしています。

次に、蒔いてよかったと思う種は

『石巻さかな女子部』であります。

なにそれ?という方はこちら

ざっくり言うとこれは、

魚食文化を通じて

何か面白いことをやりたい!

という女性たちの集まりで、

鮮魚店で

旬の魚のおろし方を学ぶという

活動から始まり、

最近ではオリジナル料理の開発や

イベント出店など

外向きの活動も増えてきました。

現在、名を連ねる部員は約40名。

といっても、

ほとんど活動に参加したことがない

幽霊部員さんも多いのですが。

この『石巻さかな女子部』、

もともとは、

産業復興支援員として

石巻をPRする仕事の一環で

立ち上げたものでした。

しかし、当初から反響が大きく、

私が職を辞した後は、

プライベート活動として存続。

なんせメリット絶大ですので、

無給であろうが

私にとっては、

続けるべき活動なのでありました。

なぜなら、

『石巻さかな女子部』という旗の元には、

魚が好きで、

食文化や社会貢献にも興味があり、

創造力と行動力、遊び心を持つ

大人の女たちが

自動的に集まってくるのです。

このことが、

私の石巻ライフを

どれほど豊かにしてくれたことか!

このような場を

得ようと思って得ることは

いくらお金を積んでも難しいでしょう。

もちろん、

来る人、去る人、さまざまではあります。

が、むしろ新陳代謝をすることで

核の部分が強くなり、

存続理由が明確になってきた気がします。

一応「部長」という肩書の私は、

水やりをする程度。

力づくで引っ張らなくても、

勝手に成長していくのです。

これは、

先に挙げた『東北☆家族』も同じ。

まるで生きた植物、

そのものです。

 

そして私は性懲りもなく、

また新しい種を蒔きました。

それがこの、ウエブマガジン

『よあけのてがみ』です。

さてこちらには、

どんな花が咲き、実がなるでしょうか。

もうしばらくの

お楽しみであります。

石巻でも猛暑だった今年。購入した中古一軒家で愛猫たちとの暮らしも、1年を超しました。毎日が愛おしい今日この頃

塩坂佳子(しおさか・よしこ)

大阪府高槻市出身。関西学院大学文学部卒業後はアルバイトなどを経験し、25歳でフリーランスのライター兼編集者として開業。2000年に大阪を出て、友人が住む小笠原諸島父島へ。釣り船の手伝いなどをして島暮らしを満喫、その様子を雑誌に連載するなどして2年間の長期滞在を楽しんだ。その後、板橋区へ移住し、東京でのライター・編集業を本格始動。主な仕事は結婚情報誌「ゼクシィ」や「婦人公論」などで執筆。出版社との契約で中国上海市に1年間駐在、現地編集部の立ち上げと雑誌創刊などにも関わった。

東日本大震災後は、震災ボランティアとして宮城県を中心に訪問。2013年には、上海在住のイラストレーター・ワタナベマキコと共に、東北の名産品をユニークなキャラクターにした東北応援プロジェクト「東北☆家族」を立ち上げ。東京に住まいながら活動を続け、2015年秋に宮城県石巻市へ移住。2年間は主に石巻市産業復興支援員として、復興や地方再生を促す街の情報発信を担当した。2017年9月には『合同会社よあけのてがみ』を設立。現在は、自宅兼オフィスとして購入した築50年の庭付き中古一軒家をDIYでリノベーションしながら、2匹の愛猫・ふーちゃんとクロちゃんと共に暮らしている。

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