⑰新しい朝が来た

 
東日本大震災で被災し、避難所で3ヶ月、仮設住宅で3年間暮らしたお寺の和尚が、奇跡の一本松や巨大なベルトコンベアで全国に知られることとなった故郷、岩手県陸前高田市のことを書いていきます。フレンチブルドッグのハナさんは震災でかつての愛犬を亡くした和尚のために、妻と娘たちが連れてきてくれた新しい相棒です

新しい朝が来た

もう先週になった7回目の命日。

日曜日、好天に恵まれるなどの要素もあっただろうが、

おおぜいの遺族、

友人知人が前日より我が街、陸前高田入りし、

一緒に手を合わせた3月11日の命日。

この日に合わせて帰って来た人も多く

午後から行われる市の追悼式にも

出席するとの事。

 

陸前高田市では1557人が犠牲になり、

未だに202人が行方不明となっている。

私が住職を務める

浄土寺の檀家さんでは301人が犠牲となり、

47人が行方不明である。

 

昨年来一年ぶりで会った人たちや

数年振りで会った人たちなど

賑やかに会話が弾んでいた。

市の追悼式に参列するまでの時間

新しくできた店に行ったり、

法要に参列し墓参後に帰るという人もいた。

 

今年の追悼式は新しい施設で

来月に正式オープンする

市総合交流センター「夢アリーナたかた」で行われた。

毎年お寺の法要を終えると、

私も市の追悼式会場には必ず

花持参で手を合わせに行く。

地震が起きた2時46分には

サイレンの合図とともに黙祷をするが、

寺では梵鐘を撞く。

 

以前にも書いたが命日や命日が近くなると、

報道関係者から連絡がある。

直接取材は受けないことにしているが、

寺の敷地内から写真を、とか

テレビ中継の場所に、とか

事前に連絡があれば

参列者に迷惑をかけないことを条件に

今回も許可を出したが、

境内にいると

「ご住職さんですか?〇〇新聞ですが。

お忙しいところすみませんが少しお話を」

と突然のカメラ取材が来る。

「お忙しいので」と断る。

中には住職がいようがいまいが

勝手に撮ってます、というのもいる。

良くないのだろうが、

余程のことがない限り

絶対にこちらからは声をかけないが、

わざと境内をウロウロしてやる。

私の姿を見ると小走りで挨拶に来る者もいる。

命日法要には震災が縁で知り合って

毎年東京から

お参りに来てくれる人もいる。

八丈島のフリージアを毎年、

送ってくれる友人もいる。

7年過ぎても心にかけていてくれる人たちがいる事が

とてもありがたく嬉しく思う。

フリージアは参列者にお裾分けし

お墓に供えたり、

仏壇にお供えしてもらっている。

命日を同じくする人同士

これからも一緒に手を合わせお念仏を勧める。

 

震災の日から

頭の中で口ずさんでいる歌は

「ラジオ体操」であると誰かの手記を読んだ。

新しい朝が来た希望の朝だ〜〜♪

改めてこの時期に歌詞を噛み締めると、

必ず新しい朝が来るだろうと思っていたけど・・・・。

「朝が来る」じゃなくて、

歌詞の通り「朝が来た」と来た時にわかるんだよー。

そだね〜 って思ってくれる人が

1人でもいてくれたら。

1958年生まれ。岩手県陸前高田市にある浄土寺の住職。以前は併設の幼稚園で園長も務めていたが、東日本大震災で寺は大規模半壊、園舎は跡形もなく流され現在休園中。奇跡的に家族の中には犠牲者が無かったが、愛犬一匹を失い、自身も避難所で3カ月、仮設住宅で3年間の生活を余儀なくされた。最大規模の被災地にある寺の住職として、犠牲者の魂や遺族たちの心を支え続けている。現在は妻と震災後にやってきたフレンチブルドッグのハナちゃんと生活。3人の子どもたちは成人し、それぞれ東京などで暮らしている。

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