⑯砂漠を緑に変えていこう

東京でフリーライターをしていたアラフィフシングル女子。東日本大震災を機に東北へ通い始め、2015年にはついに宮城県石巻市へ移住。現在は庭付き中古一軒家を購入し、会社も設立。愛猫のふーちゃんと共に大海原へ漕ぎだした、そんなドキドキハラハラな毎日を記していきます 

砂漠を緑に変えていこう

私が移住した石巻市は、

人口14万5952人(平成30年2月末現在)。

宮城県内では第2位の都市と言われますが、

1位は仙台市の108万7,091人なので

その差は歴然としています。

しかも、右肩上がりに人口増を続ける仙台とは逆に、

石巻は1985年の18万6587人をピークに

人口が減少。

震災の翌年にはなんと1万人が流出し、

その後も年間、約1000人が

毎年いなくなっています。

すでに今年は、

1月~2月の1カ月間だけでも130人減!

その勢い、

まさに砂時計の砂が落ちるごとくです。

移住して3年目。

私もようやく、被災地というよりは

過疎と高齢化が深刻な地方都市という

石巻の本当の姿を認識し、

長年暮らしていく住民として

切羽詰まった危機感を

抱くようになりなりました。

街に人がいなくなると、

当然ながら商売が成り立たなくなり、

ひとつ、またひとつと

お店がなくなっていきます。

石巻駅前でも昨年、

震災後に唯一営業していた地元スーパーが、

廃業してしまいました。

「この街で、歳をとっても

独り暮らしだったらどうなるのだろう」

(その可能性大!)

さすがの私もうっかりすると、

不安に支配されそうになります。

 

しかしながら、

人生はアドベンチャー。

立ちはだかる壁が

大きければ大きいほど

エキサイティングで飽きが来ないというのも、

また真実と言えましょう。

運任せ、風任せで生きていると不安になる。

だったら退路を断ち、

ここで生きていく!と腹をくくれば、

恐怖が闘志に変わってくるというものです。

 

まず、地方移住で直近の壁となるのは、

仕事の選択肢が少ないことかもしれません。

漁業や農業、加工場や飲食店などでは

常に人材不足が叫ばれていますから、

選ばなければたくさんあります。

しかし、例えばメディアなどの文化的なものや

デザイン系、アート系、

その他クリエイティブな仕事はというと、

少ないのが現実。

そこで、

無いものは創るしかない。

特に私のようなフリーランスは、

仕事が来るのを待っていて、

来た仕事をこなし、また次を待つという

都会にいたのと同じ姿勢では

干上がってしまいます。

この機会に本当に、

生涯やるべき仕事は何かと考え、

自分でその種を植え、育てる。

砂漠を緑に変えていくという、

生き方のシフトチェンジが重要になります。

 

そしてもし、

そのことが実現できれば

自分が楽しくなるだけでなく、

周りの人も希望を感じるかもしれません。

結果、この街で暮らしたいと思う人が

増えるかもしれません。

今や国策となった地方創生とは、

本来そういうことではないのかなあ。

国から多額の助成金をもらい、

不釣り合いな箱モノばかり、せっせと作る。

そんな街に若者たちが未来を感じなくても、

当然だと思います。

 

いずれにせよ、

私自身のささやかな石巻ライフにも、

ニッポンの未来を変える可能性があると思うと、

その壮大さに思わずウットリ。

そして、

一日一日がとても大切に思えます。

なんたって、老後はすぐそこ!

地方でのんびり、なんて時間は、

ないのであります。

最近我が家に、ふーちゃんの妹分、クロちゃんが来ました!3人暮らし、楽しいです(*´▽`*)

塩坂佳子(しおさか・よしこ)

1970 年生まれ、大阪府高槻市出身。関西学院大学文学部卒業後はアルバイトなどを経験し、25歳でフリーランスのライター兼編集者として開業。2000年に大阪を出て、友人が住む小笠原諸島父島へ。釣り船の手伝いなどをして島暮らしを満喫、その様子を雑誌に連載するなどして2年間の長期滞在を楽しんだ。その後、板橋区へ移住し、東京でのライター・編集業を本格始動。主な仕事は結婚情報誌「ゼクシィ」や「婦人公論」などで執筆。出版社との契約で中国上海市に1年間駐在、現地編集部の立ち上げと雑誌創刊などにも関わった。

東日本大震災後は、震災ボランティアとして宮城県を中心に訪問。2013年には、上海在住のイラストレーター・ワタナベマキコと共に、東北の名産品をユニークなキャラクターにした東北応援プロジェクト「東北☆家族」を立ち上げ。東京に住まいながら活動を続け、2015年秋に宮城県石巻市へ移住。2年間は主に石巻市産業復興支援員として、復興や地方再生を促す街の情報発信を担当した。2017年9月には自分の会社を設立。現在は、自宅兼オフィスとして購入した築50年の庭付き中古一軒家をDIYでリノベーションしながら、愛猫・ふーちゃんと共に新生活をスタートさせたばかり。

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