⑨陸前高田の2017年

東日本大震災で被災し、避難所で3ヶ月、仮設住宅で3年間暮らしたお寺の和尚が、奇跡の一本松や巨大なベルトコンベアで全国に知られることとなった故郷、岩手県陸前高田市のことを書いていきます。フレンチブルドッグのハナさんは震災でかつての愛犬を亡くした和尚のために、妻と娘たちが連れてきてくれた新しい相棒です

陸前高田の2017年

勝手に陸前高田の一年を振り返る。

 

4月、ビックな出来事は何と言っても、

津波で全てなくなってしまった中心市街地での

かさ上げ造成工事が続く中、

スーパーやドラッグストア、

衣料量販店、専門店などからなる

大型商業施設「アバッセたかた」と「まちなか広場」が完成し、

新しい街作りが始まったこと。

6月には、私的にビックな出来事。

震災前は毎日のように通った

ドリンクホームグラウンドである

居酒屋「俺っ家(おれっち)」が、

震災後に移転した盛岡市から

わが陸前高田に戻って来てくれたこと!

7月には、

前述の「アバッセたかた」に併設で、

市立図書館が開館。

オープンから数週間で、

来館者が1万人を突破したらしい。

 

10月には、

「まちなか広場」の隣に「まちなかテラス」が開業。

そば屋、担々麺が美味しい店は、

今も開店前から行列ができている。

そして今月14日には

新店舗の和食処「味菜」がオープン、

中華料理店も建設中と、

どんどん進化中である。

12月にオープンしたばかりの新店舗

 

こうしてかさ上げ地に

本設の店が次々とオープンしていく中、

津波にのまれた市庁舎の

新しい建設場所については揉めた。

震災後にアンケートをとった結果では、

市民が希望する新市庁舎の建設場所は

「浸水区域外」だった。

しかし、先の津波では浸水した場所であっても

かさ上げ(土を盛って高くした)後は、

安全が確保されたとして

災害公営住宅が建てられるなど、

状況が変わっていく中、

市庁舎の建設場所について

市民の思いが変化してきた。

3月の定例議会では、

市庁舎の建設場所を

災害公営住宅のすぐ後ろにある

高田小学校の跡地

(学校は移転することになっているが現在も開校中)に、

との議案が出されたが、

必要な数の賛成が得られず否決された。

しかし、「なんとかこの場所で」

との思いがある市では、

庁舎を建てる予定地を

他のかさ上げ地よりも高くしたり、

建物自体を高層階にして

より安全を確保する計画案などを提案し、

6月の議会で再度、議案を提出。

賛成14、反対3で、

高田小学校跡地に決定した。

これには震災直後のアンケート結果である

「浸水地域外」を無視した、と

不満を漏らす声も多い。

新市庁舎の建設は、

32年度の完成を待つ。

この場所は拙寺のすぐ近くである。

お寺の付近も賑わいを期待する。

拙寺の付近の土地が

利用者に引き渡されるのは、

かさ上げ地では一番遅い平成30年度末。

それまではじっと我慢だ!!

私が住職を務める浄土寺の本殿の屋根。その向こうに見えるのがかさ上げ地に新設された災害公営住宅

菅原瑞秋(すがわら・みずあき)

1958年生まれ。岩手県陸前高田市にある浄土寺の住職。以前は併設の幼稚園で園長も務めていたが、東日本大震災で寺は大規模半壊、園舎は跡形もなく流され現在休園中。奇跡的に家族の中には犠牲者が無かったが、愛犬一匹を失い、自身も避難所で3カ月、仮設住宅で3年間の生活を余儀なくされた。最大規模の被災地にある寺の住職として、犠牲者の魂や遺族たちの心を支え続けている。現在は妻と震災後にやってきたフレンチブルドッグのハナちゃんと生活。3人の子どもたちは成人し、それぞれ東京などで暮らしている。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA