⑥持ち家女子

東京でフリーライターをしていたアラフィフシングル女子。東日本大震災を機に東北へ通い始め、2015年にはついに宮城県石巻市へ移住。現在は庭付き中古一軒家を購入し、会社も設立。愛猫のふーちゃんと共に大海原へ漕ぎだした、そんなドキドキハラハラな毎日を記していきます 

持ち家女子

最近ちまたでは、

自力で家を買う女を

「持ち家女子」というそうです。

私もこの夏から晴れて「持ち家女子」に!

もちろんそんな冠が

欲しかったわけではありません。

むしろ、”女子”としては

マイナス印象であることを重々、承知。

しかしながら、

振り返ればもう30年近く、

賃貸生活を送ってまいりました。

お支払いしたお家賃の総額は

超破格値だったとはいえ、

今回ゲットした中古一軒家の

倍額以上に相当します。

とはいえ、私もずっと

死ぬまで賃貸生活がいいと思っていました。

だって人生はアドベンチャー。

思い立ったらいつでもどこへでも

飛んでいけるように

しておかなければなりません。

そんな私が「持ち家女子」になったのは、

なかば衝動といってもいいでしょう。

移住して最初の1年半は、

知り合いの立派なお宅に

下宿させてもらっていたのですが、

そこを出てから自分で借りた部屋は

今どきエレベーターがない4階建ての最上階。

人生初のユニットバス、

20へーべーあるかないかという

狭くて古くて不便なアパートでした。

もちろん、ここは石巻。

場所を選ばなければ

広くて安い物件がありますが、

私の場合は駅近くで

店舗兼活動場所となる物件を

別に借りていたこともあり、

普段は会社勤めでもあったので、

家は寝るだけ、と

安易に決めてしまいました。

しかし、3カ月も経つ頃には、

ジリジリ、イライラしてきます。

なんで私、石巻にまで来て

こんな窮屈な生活を送っているんだろう!

キャリア的に上昇志向ながら

フリーランスで生きてきた私は、

20代、30代は無意識的にも、

いろいろなものを

セーブしてきたと思います。

お金ができても贅沢はしなかったし、

いつも仕事のことで頭がいっぱい、

「何も考えずに心からリラックス」

という時間は

ほとんどなかったように思います。

まあ、若い時には

それぐらいがむしゃらに

頑張る時期もあったほうがいい、と

今でもそう思ってはいますが。

 

しかし40歳を過ぎれば人生、折り返し。

若い頃と同じような生き方を続けても、

先はたかが知れているでしょう。

だからこそ私は、

なぜか呼ばれたこの新天地、

石巻にまで来たのではなかったか。

 

「だったら、いいじゃない!

もう解放されたって」

 

突然、そう思いました。

 

別段、誰かに強制されて

セーブしてきたわけではない。

もともとストイックな性格が

自分の生き方を勝手に

窮屈にしてきただけなのです。

 

「さあ、自分を解き放つのよ!」

 

私はアパートの1室で、

仁王立ちになり叫びました。

 

そして初めて、

頭でごちゃごちゃ考えるのをやめ、

耳を済ませてみたのです。

すると、

聞こえてきたじゃありませんか。

小さな小さな心の声が。

 

「ワタシ、やっぱり猫と暮らしたいかも」

 

実は、アパートを借りる前にも

ペット可物件をうっすら探してはみたものの、

駅から徒歩圏内には

良いものがなく、

あっさり、あきらめていたのです。

しかし、猫との暮らしのよさは

しみじみ知っていました。

20代の頃に飼ったことがありましたし、

少し前まで住んでいた

石巻での下宿先にも2匹。

何か面白くないことがあっても

彼らに顔をペロペロされるだけで、

心が柔らかくなる瞬間が

少なからずありました。

でも、自分ではそれをしてはいけないと思っていた。

今までと同じ意味不明な自制心が、

ここ石巻でも結局は

「しない」という選択を

させてきたのだと思います。

 

「そうだ、家を買おう」

「そして、猫を飼おう」

 

即、ネット検索。

すると駅から徒歩圏内に

ビックリするほどお安い中古一軒家が

2軒も発見されたのです。

住所が掲載されていたので、

その日のうちに外観だけですが、

見に来ることができました。

それが記念すべき、

現在の”我が家”とのファーストコンタクト。

ほんの半年前の

できごとであります。

(つづく)

今日、石巻に初雪が降りました。東北の寒すぎる冬は本当に苦手!でも今年はふーちゃんが毎日添い寝してくれるので、少し冬が好きになりました♥

塩坂佳子(しおさか・よしこ)

1970 年生まれ、大阪府高槻市出身。関西学院大学文学部卒業後はアルバイトなどを経験し、25歳でフリーランスのライター兼編集者として開業。2000年に大阪を出て、友人が住む小笠原諸島父島へ。釣り船の手伝いなどをして島暮らしを満喫、その様子を雑誌に連載するなどして2年間の長期滞在を楽しんだ。その後、板橋区へ移住し、東京でのライター・編集業を本格始動。主な仕事は結婚情報誌「ゼクシィ」や「婦人公論」などで執筆。出版社との契約で中国上海市に1年間駐在、現地編集部の立ち上げと雑誌創刊などにも関わった。

東日本大震災後は、震災ボランティアとして宮城県を中心に訪問。2013年には、上海在住のイラストレーター・ワタナベマキコと共に、東北の名産品をユニークなキャラクターにした東北応援プロジェクト「東北☆家族」を立ち上げ。東京に住まいながら活動を続け、2015年秋に宮城県石巻市へ移住。2年間は主に石巻市産業復興支援員として、復興や地方再生を促す街の情報発信を担当した。2017年9月には自分の会社を設立。現在は、自宅兼オフィスとして購入した築50年の庭付き中古一軒家をDIYでリノベーションしながら、愛猫・ふーちゃんと共に新生活をスタートさせたばかり。

 

 

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